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第3回くにほめ登山(裏磐梯) 2012.2.1

◎裏磐梯・五色沼自然探勝路

kunihome3rd01.jpg見かけよりずっと楽しいスノーシューによる散策kunihome3rd02.jpg 2012年2月1日、福島県会津若松市に避難されている福島県大熊町の方々41人が参加し、登山家の田部井淳子さん、NPO法人「HAT-J/日本ヒマラヤン・アドベンチャー・トラスト」のメンバーがサポートした、裏磐梯をスノーシューで歩く企画に、復興博3回目の便乗で「くにほめ登山」です。

 前年10月の第1回くにほめ登山もここ五色沼探勝路でしたが、あの時は秋の紅葉とエメラルドグリーンの湖面が鮮やかな色彩を形作っていましたが、積雪の上に絶え間なく粉雪が降り続く一面の白世界。鳥の声も無い、散策者も黙々と歩くだけの静寂が寒さをより印象づけるようで、湖を遊泳する白鳥さえ凍えて見えるほどでした。

kunihomenp03.jpg寒気の中で歓喜が喚起された でも、普段目にすることもない、耳にすることもないような真っ白な雪の中をさくさくという音だけをさせてあるくのはかなり乙なもの。参加者は楽しそうに雪中行軍を楽しんでいました。


□ 第3回くにほめ登山 くにほめ歌

歓声が静かにしみこむ雪の路         (たべい)
水(湖)の中 遊ぶ 白鳥 雪より 白し    (同)
初めてのスノーシューで五色沼歩いて思うふるさとの丘  (浅野孝)

スノーシューぶかっこう姿に友わらう               (新谷公子)
一面の雪にたわむれはしゃぐ自分笑ってしまう        (浅野智枝子)
こころよい新雪踏んでわけいれば白鳥みえて夢の一時    (輝山)

裏磐梯白い雪に白鳥もおで迎えありがとう    (太田)
スノーシュはいて楽しい五色沼      (新谷孝明)
町民の絆深めたスノーシュ        (同)
田部井さんいつも一緒のひけつ何    (同)
田部井さん元気もらったありがとう    (同)

沼と空一面の白模様足跡にはずむ吐息で心温まるかな     (H.S)
雪景色消えて昔が戻るなら夢にもならぬ街の人々        (ハリー)
吹く雪の粉の白さに勝さらぬか此の人の心 外(そ)の人の心 (同)
潔白の雪中歩む裏磐梯の白鳥は飛ぶ春遠からじ        (鯉助)


第2回くにほめ登山(天覧山) 2011.10.18

◎奥武蔵・天覧山周

14A.jpg 2011年12月7日、福島県から東京都江東区の東雲住宅など首都圏に避難されている方々と一緒に登山家の田部井淳子さん、NPO法人「HAT-J/日本ヒマラヤン・アドベンチャー・トラスト」のメンバーが天覧山を散策する企画に、今回も復興博が便乗させてもらい、第2回くにほめ登山を実施しました。


9A.jpg 赤、黄、緑に色づいた天覧山には、晩秋ののどかな日差しが降り注ぎ、登山者たちを暖かく迎えてくれました。参加者たちは3時間ほどのハイキングを堪能。何気ない紅葉の光景を感動的に眺め共有したり、近況を報告し合ったり、皆それぞれの流儀で避難生活で疲れた気持ちのコリをほぐし、くにほめの歌心を整えました。
 山の頂上では皆で記念撮影。朗らかな笑顔が天覧山に咲きほこりました。



□ 第2回くにほめ登山 くにほめ歌

逆光に光るモミジや鳥の声            (へんなおじさん)
流れ山聞きしふるさと涙ぐむ            (阿部)
山あるきふるさとのこと思い出す         (やまばば)

こもれ日に色あざやかなもみじ花         (み~こ)
山登りさわやかなあせ久々に           (同)
天覧山に登っても思い出すはるかかなたのほんとうの空   (hiro)

陽を受けて最後をかざる紅葉かな        (菅野洋子)
この景色どこか似ている故郷に。        (同)
山並みに向いて故郷なつかしむ          (同)
ホロホロと只山々に向い合い           (同)
ハイキング最後は歌でしめくくり         (同)

ふみしめて何語らうや冬日和                      (くろちゃん)
送電〓(金へんに泉、「にしき」の意)世のさわぎにも秋の雲    (同)
皮肉にも被災がとりもつ縁(えにし)のわ               (同)
散り残し紅葉めでつゝ去年のわれ                   (同)

連れ添えて天覧山に踏み入れば苦痛の日々をしばし忘れし (ちょん坊)
木もれ日に映るもみじの赤や黄がしずむ心に色どり添える (ナミエノトミチャン)
人の生んだ杜でも同じ木の命赤黄の后に木もれ陽の道 (緑道)
赤や黄の色を消しつつ落とし葉の茶がれ覆う冬支度かな    (同)

さくさくと落葉かきわけこもれ日の天覧山のもみじほほ染む     (松P)
バンダナでみんなのきづないっしょに                  (詠人知らず)
天覧山紅葉踏しめハイキング                      (同)
東京で自然さがして飯能へ                       (同)

久し振りの自然にふれ足腰痛さ忘れる                (佐々木響子)
田部井さんの福島なまりにさすけねえ                 (同)
相馬流れ山に郷里思いだし涙する女性(NPO)           (同)
初挑戦杖頼りに山登りスッキリ                     (同)
下山後のあたたかいみそ汁にホットする                (同)
唄で交流深まり別れおしむ                       (同)

ふる里おもう車窓の景色青々と育つ冬野菜             (良子)
ハイキングスタイルこれも支援物資と見せ合い            (同)
パンフレットにはさむひろいし葉っぱ赤黄色              (同)
光受け両手を上げて記念写真の天覧山                (同)
避難時に着てたダウンジャケットとっくに捨てたという息子     (同)

夢に見た田部井さんとの山登り                    (一刀とし子)
晩秋の山を歩いて古里おもう                      (浪江の岡ちゃん)
華道を皆で踏みしめ四股になった悪霊退散天覧相撲       (鯉助)

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(写真・松田典子)


第1回くにほめ登山(裏磐梯) 2011.10.18

@裏磐梯・五色沼自然探勝路

kunihomepic3.JPG紅葉の中、散策を楽しむ田部井順子さん(中央)と参加者kunihomepic11.JPG 2011年10月18日、福島県大熊町で被災された方々と登山家の田部井淳子さん、NPO法人「HAT-J/日本ヒマラヤン・アドベンチャー・トラスト」ならびに大熊町社会福祉協議会の皆さんとともに裏磐梯の五色沼自然探勝路にて復興博企画として第1回「くにほめ登山」を実施しました。

c1_4.gif五色沼自然探勝路(裏磐梯ビジターセンターHPより)  青空の下、紅色や黄金色に美しく色付いた木々を愛でながらの約1時間ほどの行程を、約50人の参加者はわいわいと賑やかに元気を交歓。皆さん、この日の思い出とともに五七五の韻律で「福島、うるわし」のくにほめをしました。

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 □ 第1回くにほめ登山 くにほめの歌

 木もれ日の中に響く笑い声届け磐梯山の頂きに          (田部井淳子)
 ふるさとをはなれてひさしあいづ路を歩く心に燃ゆる木々の葉  (ねもと)
 五色沼色彩やかに目をとられ日頃の疲れ忘れて帰る       (浅野智枝子)

 るり沼の紅葉あざやか妻落葉                  (中野道明)
 熊注意五色の沼に熊注意横を向いたら妻注意           (同じく)
 五色沼妻と歩んで30年シワの数だけ感謝感謝          (同じく)

 ひなんみんこころいやさじたのしいいちにちハイキング      (渡部恵子)
 竜沼きれいの感たんの声連さ反応
   それだけのことがあるエメラルドグリーンに!        (中のたか子)
 五十肩景色の良さに思わずあ!イタタタ             (同じく)
 五色沼紅葉を見ようと人ラッシュ、
   色とりどりのウェアーの花、まさに紅葉           (同じく)

 紅葉狩りあけびばかりが目に入り、               (T.M)
 湖面にうつるもみじゆらゆら静けさの時             (武内夏江)
 出発前ほぐれるほどにもむ肩の手                (渡部正勝)
 天仰ぎ青空にゆれる色もみじ                  (同じく)

 紅葉は一年度心も太陽を紅く心応じ
   皆んな心一つなって参作する元気そのもの私は75才ですが
   プラント沼の色は地中から出る               (詠み人知らず)
 青い空紅葉が映える五色沼避難の日々をしばし忘れる      (庄子ヤウ子)

 ハイキングかん声上る手の先に紅葉にまさりあけびつらなる   (繁男)
 いつもなら胸おどらせる五色沼
   ゆれる紅葉(もみじ)にしのぶ故郷(ふるさと)       (同じく)
 ふみしめるうるしかえでにふと思う庭の紅葉は誰がながめる   (同じく)

 久方の町人(まちびと)集(つど)う五色沼
   ゆれる紅葉にかん声高く                  (土屋カホル)
 山はだの色とりどりに我が心うつろになりてさまよい歩く     (米倉カ子)
 色どりの落葉ふみしめ我心平になりて清く澄みゆく        (和代)

 又こよう今度はストレスのない心で               (吉田真美)
 きれいな紅葉うれしい友達いつもと同じ変わらない秋       (同じく)
 きらめく水面見えない汚染きれいな紅葉負けない秋        (同じく)

 赤沼もじじの顔見て赤くなる                  (田中秀男)
 ななかまどすずなりの実でおでむかえ              (吉田正子)
 水の音心洗わるハイキング                   (同じく)
 青空にふるさと思い紅葉がり                  (同じく)
 秋の空すみわたる水五色沼                   (同じく)
 悲しさも悔しさもなし紅葉がり                 (同じく)

 紅葉(こうよう)とコバルトブルー彩やかに
   冴える五色(ごしき)と世界の田部井            (浅野孝)
 水面に映る紅葉が笑顔を緑かな黄かな赤かな紅葉は       (武内智恵美)
 こうようもわたしもみごろよばんだいじ             (浜のトホホ)
 裏ばんだい秋深まりしこもれ日のみな明日へ向かえとひとみ輝く (松P)
 ほめられてあれ紅葉もなお紅く笑いこだまする裏磐梯路      (鯉助)
 皆同じ小さき歩みの人の輪はこれが初めと山が教えん       (針生拓郎)

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kunihomepic10.JPG(写真・松田典子)

「くにほめ登山」から始めましょ

短歌・俳句を詠ってほめて
 くに=東北を元気に

kunihome01.jpg(写真・松田典子) 「くにほめ(国誉め・褒め)」とは…                   
 古代からある神事のひとつで、故郷や風土、土地土地の自然がどんなにすばらしいか誉め(褒め)称えることで大地を喜ばせ、褒められたお礼に五穀豊穣や安寧をもたらす行為です。「くにほめ」は国褒め(誉め)の歌として行われることが多く、ヤマトタケルノミコトが望郷の思いを込めて詠んだ以下の歌(古事記)もそのひとつです。

やまとは国のまほろば たたなづく青垣 山ごもれる やまとしうるわし
(やまとの国は素晴らしい、多くの気高い山が連なり、深緑の木々が垣根のようにして山肌を覆っている、やまとの国は本当に美しい)

 東北地方のおすすめ軽登山コースを発掘、紹介し、多くの人が登って「くにほめ」することで被災地の方々にエールを送るとともに、郷土食や温泉や宿を堪能してお金を落とすことで被災地の復興を後押しする――
 古代の行事を現在に復活させ、その力を借りながら、多くの方々に「くにほめ」の歌を詠んでいただくために被災地に赴いていただきたいと願っています。

くにほめ【国誉め/国褒め】 古代からある神事の一つ。土地土地がどんなにすばらしいか誉め(褒め)称えることで、くに(地域)が「まあ、うれしい」?と喜んで、農作物などの豊作と安寧をお礼にくれる、そんな牧歌的な行為です。