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星空写真展が始動 2012.10.19

_DSC0057.jpg 文化による心の復興のための「星空写真展」の第1回が、ユネスコの世界文化遺産登録を目指す「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の地元、長崎県五島市で同市主催で開かれました。満天の星々の下、集まった市民は100人以上。福江港と長崎港を結ぶ定期フェリー「万葉」の白亜の船体に写真家・松田典子さんの教会および信者の美しい写真が次々と映し出されると、老若男女は心静かに作品を見つめ、あたかも教会にいるかのような雰囲気を醸し出しました。

 五島列島を含め長崎では幕末から明治初期にかけ、キリシタンへの弾圧・迫害が行われました。その悲しい歴史を忘れないことが、人類の宝物といえる「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」を後世に伝え、広く世界に紹介する前提であるはずです。キリスト教の信者であるか信者でないかにかかわらず悲劇がかつてあったことを現代人が記憶にとどめ、二度と起こらないようにすることで、地域の人々のわだかまりやあつれきが徐々に解消されるはずです。
 こうした「歴史的和解」を文化を通じて推し進めるのは、復興博の趣旨に合致します。そうした志を持つ五島市の方々に協力し、星空写真展を開催しました。

 星空写真展で映し出された松田さんの作品は約120枚。五島市の堂崎教会をはじめとする教会建物、信者の写真などです。地元の文化の魅力を地元の人々に再認識してもらい、登録に向けての地元の賛意と熱意を高めるためにも、さらに新しい夜間観光として夜の町の復興の試みとして開催しました。

 また、プロジェクターなどに必要な電源は電気自動車(EV)から給電し、地球にやさしい静かな環境の中で実施することができました。

■開催概要
日時: 2012年10月19日(金)午後8時半~ (開催時間は30分)
会場: 福江港および周辺 (長崎県五島市池田町1-2)
主催: 五島市
特別協力: 九州商船株式会社
企画協力: はっぴーぴくちゃー、NPO法人復興博
撮影協力: カトリック長崎大司教区
後援: 長崎新聞社、社団法人長崎県観光連盟
入場料: 無料

写真が復興を応援

 東日本大震災から1年余り。
 東北の復興には、そこに住まう一人一人の「心の復興」「個人の尊厳の回復」が不可欠であることを痛感させられています。復興博が、文化による復興の応援を目指しているゆえんです。

 そこで、文化による心の復興への取り組みの一つとして、「星空写真展」企画を始めます。星空の下、プロジェクターを使い地元の風景と、特に人々の写真を建物の白壁や乗り物などに大きく投影するアートイベントです。
 星がまたたく瞑想的な時空間に、故郷の文化と風土、そこに暮らす人々のかえがえのなさを皆で見つめ直し、心の復興のための誇りと元気を共有する機会とするものです。
 それは、故郷を褒めることで活性化させる「くにほめ」でもあります。